私が知らない“ワタシ”でいることは少しだけ怖いけれど、きっと“ワタシ”しか知らない世界が見えるはず。
「さて、と。顔、創ってくる」
「創るってお前……」
若干引き気味の真尋に背を向け、ポーチを持って洗面所へと向かった。
棚には、コップの中に2本の歯ブラシ。
「……」
なんで……一緒に入れてんのよ、バカ。
少しだけ赤くなってしまった顔を隠すように、ファンデーションを重ねる。
創る、なんて言っては響きが悪いけど、その比喩はあながち間違いではないと思う。
化粧を落とせば、まるで別人のように様変わりしてしまうこともある。
実際、プールの後に見たクラスメートの眉毛は殆ど存在せず、二重だと思っていた瞼も、本当のところはアイプチで創っていただけだった。
そしてそれは、この世界の条理を忠実に表しているように思える。
「……私も、隠すのは巧いかもね」
額にあった小さなホクロ。昔から、嫌で嫌で仕方なかった。
「さて、と。顔、創ってくる」
「創るってお前……」
若干引き気味の真尋に背を向け、ポーチを持って洗面所へと向かった。
棚には、コップの中に2本の歯ブラシ。
「……」
なんで……一緒に入れてんのよ、バカ。
少しだけ赤くなってしまった顔を隠すように、ファンデーションを重ねる。
創る、なんて言っては響きが悪いけど、その比喩はあながち間違いではないと思う。
化粧を落とせば、まるで別人のように様変わりしてしまうこともある。
実際、プールの後に見たクラスメートの眉毛は殆ど存在せず、二重だと思っていた瞼も、本当のところはアイプチで創っていただけだった。
そしてそれは、この世界の条理を忠実に表しているように思える。
「……私も、隠すのは巧いかもね」
額にあった小さなホクロ。昔から、嫌で嫌で仕方なかった。



