それを愛と呼ぶのなら

あんたはその感情を手にしたことがある?──なんて、向こうで食器を洗う真尋に、心の中で問いかけてはみても、それを声に乗せて届ける理由なんてなくて。


視界の端に捉えたリモコンを使ってテレビをつけると、お馴染みのキャスターが映し出された。

これ……こっちでもやってるんだ……。


『それでは天気予報、お願いします』


そんな言葉と共に切り替わった画面には、これまたお馴染みの天気予報士。


『おはようございます!7月7日、七夕ですね。今日は全体的に晴れるので、天の川がよく見えると思いますよ。それでは、全国の天気をお伝えします』


再び切り替わった画面に、簡易的な日本地図が映された。

大阪は、窓の外を見れば納得のお天気マーク。


「晴れだって、今日」

「そっか、よかった」


洗い物が終わったのか、タオルで手を拭いた真尋は、私の隣に腰を下ろす。

そのごつごつした手に、思わず見惚れた。


「洗い物、ありがとね」

「おー」