それを愛と呼ぶのなら

「掃除は?」

「一緒にすればいい。風呂は交互な」

「今日はどっち?」

「仕方ねえから俺が洗ってやる」

「やった」


他愛のない会話。スーパーでの普通の買い物。

当たり前のことがこんなにも新鮮に感じてしまったことに、少しだけ切なさを覚えた。



結局、今日の晩御飯は真尋のリクエスト通りのホイコーローになった。

その食材と、1週間食い繋ぐには充分なお米も購入。

味噌や醤油などの調味料も必要な分は揃えたので、調理するにあたって不自由はないだろう。

食器や調理器具はマンションに備品としてあったので、助かった。


「荷物いっぱいね。買いすぎたかな」

「まぁいいじゃん。軽いやつ持って」


そう言った真尋は、重いはずのお米が入った袋をひょいっと持ち上げた。

袖の下からは、細いのに鍛えられた腕が見える。


「重くないの?」

「そこまでひ弱じゃねえよ」


スタスタと先を歩く真尋に、駆け足で追いつく。

コンパスは明らかに真尋の方が長いのに、そこから真尋が前に出ることはなくて。

合わせてくれてる、それがちょっぴり嬉しい。