いらない。この生活に、あんた達は必要ない。


「そろそろ買い物行こっか」

「……あぁ」


私の態度を特に気に留める素振りを見せなかった真尋は、ケータイと財布だけを持って席を立つ。その後ろを、私は追った。




マンションから徒歩10分くらいのところにあるスーパー。

買い物カートを押しながら、私達は今晩のメニューを考えた。


「何食べたい?」

「……ホイコーローとか」

「ホイコーロー?また珍しいとこ衝くね」

「いいじゃん。作れる?」

「任せて」


カゴの中にキャベツやお肉を手際よく入れていく。そんな私の姿を見て、真尋は感心したように声をあげた。


「ほんとお前って見た目詐欺だよな」

「……何それ、貶してる?」

「いや、褒めてる」


どうやっても褒めてるようには聞こえないんですけど……。


「逆に苦手な家事とかあんの?」

「うーん……。あ、でも……洗濯はちょっと苦手かな。畳むのにいつも手間取っちゃって」

「じゃあ洗濯物の担当は俺だな。葵は料理担当」