「ふたりの時間なんだから、私だけが決めちゃ意味ないのよ」

「……」

「……何よ、その顔」

「いや……。そういうことなら、マンションとかも全部一緒に決めればよかったなって思っただけ」


う、わ。……これは、ずるい。


無愛想な真尋がモテる理由。

顔がいいってのは勿論だろうけど、たまに見せるこういう一面があるからなんだろう。

沢山の女の子が心を掴まれてきたんだろうなぁ。


「それに関しては、任せてよかったと思ってるよ。ここ、気に入っちゃった」

「……ならよかった」


ふう、と真尋が息を吐いた刹那、鞄の中のケータイが震えた。嫌な予感がしつつもそれを手に取り画面を見ると、LINEの通知が表示されている。

メッセージの送り主は……クラスメートのカレンとモモ。


「……どうした？」


私の表情が曇ったことに気付いてか、真尋が顔を覗き込んでくる。


「別に……なんでもない」


極力画面を見ないようにしつつ、未読のままのメッセージを削除した。