それを愛と呼ぶのなら

「今何時……って、やば……っ」


壁にかけてある時計を見上げ、飛び起きた。

昨日、あのまま寝ちゃったんだ……!


「とっ、取り敢えずお風呂……っ」


あぁもう、シャツもくしゃくしゃ。

って、溜め息吐いてる場合じゃないよ。


洗濯物の山の中から下着と適当な服を取って、脱衣所へ駆け込んだ。




「珍しいですねぇ、葵さんが始業ギリギリなんて」


分厚い資料を手に会議室へと向かう途中、妃名子が呑気な声でそんなことを言ってきた。

こっちにしてみれば死活問題よ。

無遅刻無欠勤を危うく逃すところだったんだから……!

とは言えず、取り敢えず笑っておく。


「ちょっとね。目覚ましもかけないまま、ソファーで寝ちゃってて」

「えー!葵さんでもそんなことするんですか」

「妃名子……。あんた、私のことを何だと……」