それを愛と呼ぶのなら

震える手で扉を開けた。

扉の向こうにいたふたりの形相は、滑稽なくらい必死で。


なんでここがわかったの。来るのが遅いのよ。真尋、もう行っちゃったじゃない。

あんた達のせいで真尋がどれだけ苦しんだと思ってんの。なんで真尋が全部ひとりで背負わなくちゃならなかったの。


様々な感情が一気に膨張して、涙と共に声となって出ていった。

言葉を武器にして、許されない過ちを犯したふたりをこれでもかってくらい罵って責めたけど、真尋がここにいない事実は変わらなくて。

あまりに残酷な現実に、私は遂に膝から崩れ落ちたんだ。


マンションの清掃は私が眠っている間に真尋が済ませてくれていたらしく、自分の荷物をまとめるだけで退去することができた。