水の中をゆらゆらと揺らめくような感覚の中で、様々な情景が走馬灯のように流れては消えていく。

なぞったのは、幼い頃から今までの記憶。

振り返れば振り返るだけ、虚しい人生だった。

家族も、共に学校生活を送るクラスメートも、みんな上辺だけ。

仮面の下に全く別の表情を隠し持っていることはすぐに見抜くことが出来たし、私自身もずっと笑顔を取り繕っていたから、フィフティーフィフティーだと割り切っていた。

要らなくなれば棄てればいいだけのこと、と。


つまらない人生に終わりを定め、見つけたのはたったひとつの光。

都築真尋。光という言葉は恐ろしく似合わない男だけど。

真尋は、私の枯れた心に水を与えてくれた。

ぶっきらぼうで意地悪。

でも、向けられる視線やそっと触れる指先はいつも優しくて。

この男の大切なものになったんじゃないかって錯覚してしまう。