「ッ!」


雨の夜、信じられないような事実を知ったのと同時に、真尋と巡り合った。

見ず知らずの私を心配して、びしょびしょになってまで駆けつけてくれたわよね。

あれね、本当はすっごく嬉しかったのよ。

私も誰かさんみたいに素直になるのは得意じゃないから、口には出さないけどね。


真尋は初めから、私の警戒対象ではなかった。

それはきっと、同じような立場ということと──時折垣間見せる優しさのせい。

ぶっきらぼうで、無愛想で。だけど、向ける視線はいつも穏やかで。


真尋は私にとって──世界でたったひとりの、大切な人。

この男さえいれば何もいらないと、馬鹿みたいなことを真剣に考えてしまうほど。


だから私、幸せよ。

あんたとなら、例え地獄の底に落ちても、幸せ。


「ね……まひ、ろ……」

「……ん」

「あんたに出会えて……ほんとに、よかった……」