それを愛と呼ぶのなら

「食器は俺が洗っておくから、お前風呂入ってこいよ」

「ほんと?じゃあ、任せていい?」

「あぁ」


ヒラヒラと手を振って、ぶっきらぼうに返す真尋。

その横顔に「ありがとう」と告げ、着替えを持ってお風呂場へと移動した。




お風呂から上がり、ベッドに凭れてテレビを見る真尋の隣に腰を下ろす。

前にあるテーブルには、氷と麦茶が入ったグラスがふたつ。


「飲んでいいの?」

「俺が両方飲むんだよ」

「バカ。貰うわよ」


肘で軽く突き、向かって右側に置かれていたグラスを呷る。

テレビから流れる賑やかな音が、やけに響いているような気がした。


「……」


グラスを置いた時、ふと視界の端に映り込んだのはケータイ。

特に用があるわけではないのに何気なく触ってしまうのは、現代に生きる若者にはよくあることなのかもしれない。

電源ボタンを押して画面を確認することに、意味なんてない。

だけどその染み付いた行為が、今回に限っては私の心臓を凍りつかせた。