夜が明けるのが怖くて、目が覚めたのに、それすらも夢であれと願った。

だけど、訪れる不安も寂しさも本物で、結局これは夢でも幻でもなく、現実なのだと突きつけられる。


部屋の中を見回しても、シングルベッドの隣を見ても……どこにも真尋のぬくもりを感じられない、6日目の朝。


「……お腹空いた」


乾かさずに寝たボサボサの髪をかきあげ、のそりと布団から出る。

冷蔵庫の中には、昨日炊いたご飯の残りがふたり分。


「……」


ひとりだと何も作る気にはならず、はぁ、と深い溜め息を吐いた私は、ゆっくりと冷蔵庫を閉めた。

脱衣所のカゴにかけていた薄手のパーカーを羽織り、家を出る。

マンション近くに、カフェがあることは知っていた。そこで朝食を取るべく、私はのろのろとエレベーターに乗り込んだ。