その間は永遠だったようにも、一瞬だったようにも思える。

ゆっくりと離された真尋の端正な顔が、苦しそうに歪められていることに、その時ようやく気付いた。


「……言うな」

「え……」

「……ごめん。そこから先は……聞きたくない」


唇を噛んで、眉間に皺を寄せて。

私の気持ちなんて必要ないと、真尋は言う。


あぁ……そうか。そうだった。

何を自惚れていたんだろう。

近くにいすぎて、感覚が麻痺してしまっていたけれど。

私達は、親の不倫相手の子どもで、それ以上でもそれ以下でもなくて。

自分達の未来を消し去ることで……命を絶つことで、罪の意識に苛まれるであろうあの人達に復讐するはずで。


私達の間に、気持ちなんていらなかったんだ。


「……そうね、忘れてちょうだい。私も、なかったことにするから」

「……」

「疲れてるのよね、きっと。お風呂に入って、もう寝ましょうか」