そんな無神経なこと聞けるはずもなく、私は話を逸らすことにした。


「そのお祭り、いつやってるの?」

「確か……9月だったかな。あんま覚えてねえけど」

「じゃあ、私達はもう見れないね」


脱いだスウェットを持って脱衣所へと向かおうとした真尋の背中にそんな言葉を投げかけると、再び真尋の足が止まる。

それも束の間、彼は乾いた笑みを漏らした。


「……そうだな」




電車に揺られる。規則的なリズムが心地いい。

ふと隣を見ると、真尋が目を閉じて眉間にシワを寄せていた。


こういう気難しそうな顔、よくしてるよなぁ……。

まぁどうせ、そんな顔も素敵、って騒がれてたんでしょうけど。


「お前、見過ぎ」


切れ長の真尋の目がパチッと開かれ、視線が絡む。

う、わ。

ドクッと心臓が嫌な音を立てて暴れ出した。


「べ……別に、ずっと見てたわけじゃないし」

「見てたことは否定しねーんだな」


いや、目が合った時点で言い逃れできないでしょ。