「大嫌いなんだよ」


くやしかった。私はあなたのことちゃんとわかってたのに。

この瞬間溜まっていた怒りが感情を押さえる大切な何かをぶち壊したのを感じた。

「なんで!?どうしてわかってくれないの!?私はこんなにもあなたを信用して愛しているのに!!どうして理解してくれないの!?理解しようとしてくれないの!?」

彼は怒りに満ちた顔をした。

「は?うっざ」

彼は小さく舌打ちをすると

「お前さ、もしかして自分が悲劇のヒロインとか思ってんじゃねーの?」

「お前がそんなやつとは思わなかったよ。俺が大好きなお前は」

彼は私が右手に握っていたケータイを取り、ポケットに入れた。

「どこにいったんだよ」

しらねーよんなこと。こっちが聞きたい。

「...じゃあな」


こんなはずじゃなかった。


この時私の頭の中に走馬灯のように学との思い出が流れた。学と別れる?


いやだ。絶対にいやだ。


彼は深くため息をつくと机に右手をつき、ゆっくりと立ち上がると椅子を綺麗に直してポケットに手を入れると歩きだした。


私は彼を追いかけようとした。おかしい。足が震えて動けない。足元を見るととても小さなみずたまりができていた。


彼はジュース2人分のお金をお店の会計の所に置き、出ていってしまった。


どうして


どうして理解してくれなかったの。私は冷静になれなかった。


気がつくと体の震えが止まり、自然と彼の元に向かって走っていた。


私の右手にはナイフが強く握られていた。私は両手でナイフを握りしめ、目の前で歩いている彼に向かって


グサッ