「…何してんだよ…てめぇら」


聞き覚えのある声が近くで聞こえた


恐る恐る目を開けてみると目の前には、わなわなと静かに怒りを燃やす颯の背中があった


私を安心させようとしているのか、私の手を強く握っている


そのおかげで、私の不安が一気に吹き飛んだ


今までもこんなことがあったが、駆けつけて来てくれた時は必ず助けてくれるから




颯の怒りが相当伝わったのか2人組が逃げ出した


「颯…え?」


2人組が見えなくなった瞬間、颯がいきなり振り返り私を抱きしめた


隙間がないくらい密着している


颯…心臓が、速い…


その事からも走って来てくれたことが分かる


「…バカ…、俺から離れるんじゃねぇよ…」


その声で、一気に安心感に包まれる


「そ、う…っ…颯…」


私は颯に思いっきり抱きついた


みるみるうちに視界が歪んでいく


「…バカ愛夢」


颯はそれ以上何も言わずに、頭をポンポンと撫でてくれる