次の日、学校へと向かう足取りはかつてないほどに重かった。

なぜかと言えば、それはただの寝不足で。

その理由はと言えば、それはハルの言葉のせいだった。

私がカナを好きだとかハルが言うから、だから変に考え込んでしまって眠れなかった。

まったく、睡眠時間を削るなんてどう責任とってくれるつもりだろうか。

「はぁ」

溜め息を吐いた。


「どうしたんだよ」


隣から声が聞こえる。

視線を横に移すと、隣の家__カナの家の玄関のところでカナが心配そうに私を見ていた。

瞬間、ドキンと心臓が跳ねた。

心拍する鼓動がその速度を増す。


『幼馴染クンなんだ。みーちゃんの特別なひと』


ハルの声が、脳内で反響する。

あのときの、ハルの顔。

すごく楽しそうな、ニヤニヤ顔。

それを思い出して顔が熱くなった。

恥ずかしいことこの上ない。

なんでハルにそんなことを言われないといけないんだ。

というか、私はカナのことを、恋愛対象として好きなの__?


「おい、ミサ!」

カナの苛立った声が聞こえて、ハッと意識を戻す。


「あ!ううん、なんでもないの!」

震えそうになる声を押さえながら、私は笑った。

カナは溜め息を吐いて、「一緒に行こう」と言った。

その瞬間、私から笑顔が消えた。