昼休み、階段を駆け上がる。

暗くてじめじめして、ほこりっぽい廊下を歩けば現れる、古びた扉を押し開けた。

キイイ、と金属がこすれる叫び声みたいな音が耳をつんざくけれど、それも気にせずに開けると、そこには吸い込まれそうなくらいの青が広がっていた。

日差しがサンサンと降り注ぐ中を歩く。


__ああ、青い。眩しい。


そんな当たり前な感想しか出てこない程に、空は晴れ渡っていた。


吸い込まれそうなほどの青い空には、白い雲がゆったり浮かぶ。

ゆっくり進んでいく、風に流されていく。


私はそっとフェンスに寄り添って眼下に広がる街を見下ろした。

動く車、歩く人。

移り変わる信号の色、とめどない人の流れ。

ああ、変わらないなと思った。

私がいくら悩んでも、苦しんでも、それでも街は変わらずに同じ日を繰り返す。

悩み苦しむ私なんてあまりにちっぽけな存在で。

きっと、この世界からそっと消えたって、何事もなかったように世界はきっといつも通りの今日を繰り返す。


私は息を吐きだした。

吐き出した空気はもうどこに行ったか分からない。

さっきまで肺の中にいたのに、分からない。