きみに触れられない

さっきまで怒っていたかと思えば、『ハルと出会えてよかった』なんて言う。

ほんと、みーちゃんはよく分からないよ。

しかもなにこれ、文法がはちゃめちゃだよ。

これで学年トップの学力とか、疑っちゃうよね。

『ありがとう』

だけど、みーちゃんの気持ちがいちばん伝わってくる言葉だった。

はちゃめちゃな文法でも、めちゃくちゃな言葉遣いでも、みーちゃんの顔と声を合わせて理解しようとすれば、どれだけの勇気で、どれだけの想いで、その言葉を口にしたのか、痛いほど分かった。


だからこそ嬉しくて仕方がなかった。



『ハルが好きだよ』




__ああ、だからみーちゃんは俺が告白したときに辛い顔をしたの?

もし俺が自分の好きな人と両想いになったら消えるって言ったから、それを気にしていたの?

ほんと、あんな話すぐに忘れてしまえばよかったのに。

しがないユーレイの話なんて、どうせこの世からすぐに消える俺の話なんて、気にするほどのことじゃないのに。

…みーちゃんは本当に、優しいね。

ごめんね、みーちゃんが誰より優しい人だって知っていたのに、その苦しみに気づけなくて。

俺が、みーちゃんを傷つけたんだね。