「そうじゃなくて、これもお父さんに持って行くの?」
「お父さんもお疲れだからね、甘いもので疲れをとってもらわないと」
やさしい顔をして笑うお母さんはとても可愛かった。
ああ、お父さんが好きなんだって伝わってくる。
何年も夫婦をやっていてときたま喧嘩することもあるし、仕事が忙しくて3日も顔を見れない時だって日常茶飯事だけど、それでもちゃんと愛してるんだと伝わってくる。
「お父さんに言っとくことは?」
「『無茶しないでね』」
お母さんはお茶目に微笑んだ。
それを見て私の心も少し軽くなった。
*
手提げにケータイと財布、茶封筒とお菓子をいれて家を出る。
大分陽は傾いて、街は茜に染められていく。
西の空ははちみつのようなオレンジ色だけど、そこから真上に、そして東へと視線を逸らしていくと、オレンジ、茜、紫、青と空は美しい色で彩られていた。
東の空にはもう星が瞬いていて、白く輝いていた。
お父さんの勤める病院には数えきれないほど通った。
どこか怪我をした、病気にかかった、というわけではなく、遊ぶために。
お父さんの勤める病院はこの街ではいちばんに大きくて、その分敷地も広い。
病院内にある公園でよく遊んでいた。
「お父さんもお疲れだからね、甘いもので疲れをとってもらわないと」
やさしい顔をして笑うお母さんはとても可愛かった。
ああ、お父さんが好きなんだって伝わってくる。
何年も夫婦をやっていてときたま喧嘩することもあるし、仕事が忙しくて3日も顔を見れない時だって日常茶飯事だけど、それでもちゃんと愛してるんだと伝わってくる。
「お父さんに言っとくことは?」
「『無茶しないでね』」
お母さんはお茶目に微笑んだ。
それを見て私の心も少し軽くなった。
*
手提げにケータイと財布、茶封筒とお菓子をいれて家を出る。
大分陽は傾いて、街は茜に染められていく。
西の空ははちみつのようなオレンジ色だけど、そこから真上に、そして東へと視線を逸らしていくと、オレンジ、茜、紫、青と空は美しい色で彩られていた。
東の空にはもう星が瞬いていて、白く輝いていた。
お父さんの勤める病院には数えきれないほど通った。
どこか怪我をした、病気にかかった、というわけではなく、遊ぶために。
お父さんの勤める病院はこの街ではいちばんに大きくて、その分敷地も広い。
病院内にある公園でよく遊んでいた。


