左右に立ち並ぶ出店を歩きながら、2人の後ろを歩く。
この街にこんなにも多くの人が住んでいるんだ、なんてことを考えてしまうくらいにはたくさんの人が詰めかけていた。
ざわざわとした雑踏が鼓膜を刺激して、2人がどんな会話をしているのか、はっきり聞こえない。
__カナが、遠い。
わずか1メートル向こうにいるはずのカナが遠い。
振り返らない後姿が、大きな背中が、なんだか切なくなった。
雑踏の中、ぎゅっと自分の浴衣の袖口を掴んた。
太陽は徐々に落ちてゆったりした藍色が街を染めてゆく。
屋台のオレンジの明かりは会場にさらなる活気を灯していた。
赤、青、黄、緑。
屋台にでかでかと書かれた食べ物の名前と原色に近いその色はオレンジに照らされて、まるで油絵の具で描かれた絵のように見えた。
歩くたびに、様々な色が視界を彩って、まるで夢の中を歩いているような心地さえした。
「何か食べる?お腹減ってない?」
カナが振り返って尋ねる。
「ミサ、食べたいものある?」
綾芽ちゃんも尋ねてくる。
「え?うーん…」
視界に次々と映る屋台はどれもおいしそうに見えて、すぐに決められない。
すると綾芽ちゃんが「迷うよね」と共感してくれた。
「じゃ、しばらく歩こうか」
カナの提案に乗って、私達はゆっくりと屋台が続く道を練り歩いた。
この街にこんなにも多くの人が住んでいるんだ、なんてことを考えてしまうくらいにはたくさんの人が詰めかけていた。
ざわざわとした雑踏が鼓膜を刺激して、2人がどんな会話をしているのか、はっきり聞こえない。
__カナが、遠い。
わずか1メートル向こうにいるはずのカナが遠い。
振り返らない後姿が、大きな背中が、なんだか切なくなった。
雑踏の中、ぎゅっと自分の浴衣の袖口を掴んた。
太陽は徐々に落ちてゆったりした藍色が街を染めてゆく。
屋台のオレンジの明かりは会場にさらなる活気を灯していた。
赤、青、黄、緑。
屋台にでかでかと書かれた食べ物の名前と原色に近いその色はオレンジに照らされて、まるで油絵の具で描かれた絵のように見えた。
歩くたびに、様々な色が視界を彩って、まるで夢の中を歩いているような心地さえした。
「何か食べる?お腹減ってない?」
カナが振り返って尋ねる。
「ミサ、食べたいものある?」
綾芽ちゃんも尋ねてくる。
「え?うーん…」
視界に次々と映る屋台はどれもおいしそうに見えて、すぐに決められない。
すると綾芽ちゃんが「迷うよね」と共感してくれた。
「じゃ、しばらく歩こうか」
カナの提案に乗って、私達はゆっくりと屋台が続く道を練り歩いた。


