2人きりの世界だ。

唐突にそう思った。

和やかに楽しそうに話す2人の中にとても入っていけない。


「お祭りに行こうよ」

綾芽ちゃんが満面の笑顔でそう言う。


「ミサ?」

その声でハッと意識を戻すと、2人が少し前を歩いていて振り返って私を見ていた。


「あ、ごめん。なんでもない」


私は笑って慌てて2人の後を追った。



花火大会の会場に近づくにつれて、人の数がどんどん増えていく。

浴衣を着たカップルもいたし、家族連れも多くいた。

キョロキョロあたりを見渡しながら、仲良く話す2人からはぐれないようにと、私は必死に歩いていた。


お祭り会場に着くと、そこにはたくさんの出店が並んでいた。

焼きそば、タコ焼き、わたあめ、かき氷。

いろんな種類の出店。

人々はそれに列を作って並んでいた。

私はそれをなんだか懐かしいなという気持ちで見ていた。


__ほんと、久々だ。

花火大会に、お祭り会場に来るなんて。


「いろいろあるね~」

綾芽ちゃんが振り返って笑う。

つられて私も「本当だね」と笑った。

カラン、カラン。

歩くたびに下駄の音が響く。