「どうして?」

「だって…」

「友達を失いたくないから?」

私はまた何も言えなくなった。

「図星、でしょ」

悔しいくらいに、ハルは私の言えない気持ちを、言いたくても言えない言葉を、私の代わりに代弁していく。

「きっと、あの子だったら大丈夫だったと思うよ。

もしみーちゃんが幼なじみクンのことが好きでも、正々堂々勝負するつもりだったって言ってたんだし」

「また今度、ちゃんと言いなよ。きっと大丈夫だから」とハルは私を勇気づける。

「うん…」

頷いてはみたものの、だからといって言える気はしなかった。


カナのことが好きだったとして、それをいまさら綾芽ちゃんに言ったところで、それはきっと、手遅れ。

じゃんけんをしようとしたら出し遅れて負けたような、もう既に決着はついているような、そんな感じだ。

私はずいぶんと後れを取った。


それに、相手が綾芽ちゃんなら勝てる気なんてしない。

昔からずっとうじうじ悩んでずっとひとりだった私と、明るくて誰とでも仲良くなれる前向きな綾芽ちゃん。


そんなの、どちらが選ばれるかなんて最初から分かってる。