ズンズンと廊下を進む。

いつもよりもずっと速い速度で。

視線は下に向けたまま。


__ああ、腹が立つ。

ハルに腹が立って八つ当たりした、自分に腹が立つ。

ハルは何も悪くない。

悪くなんかない。

それを分かりながら、自分が正しいんだと自分を庇うように、ひどい言葉をハルに浴びせた。

自分を守りたくて、ハルを傷つけた。

そのことが許せないくらい、腹立たしい。


__ハルに、嫌われちゃったかな。


はた、と足を止める。


嫌われても、仕方がない。

もう会いたくないと言われても、仕方がない。

だって、あんなに傷つけた。

ハルを、傷つけた。


自分が嫌で嫌で、仕方がない。


私はまた歩き出した。


__分かってた。

ハルに言われたこと、分かってた。

自分で決めなきゃいけないんだって。

でも、それをハルから言われたことが、すごく衝撃だった。

抉られるような胸の痛みだ。


__ドン。

ぶつかって、しりもちをつく。


「すいませ……綾芽ちゃん!?」

「ミサ、大丈夫?」


ぶつかったのは、綾芽ちゃんだった。