もちろん先輩の家に呼ばれしたのはわたしだけで、桃矢は全くの無関係。


昼休みにもう一度萩原先輩のところに行って連絡先を交換し、家の住所も聞いて、さぁいざ行こう!と意気込んでいたのに……。


家を出ると、なぜか桃矢が玄関で待ち伏せていたのだ。


「もー、なんで桃矢まで来るかなぁ。わたしは先輩と2人きりになりたいんだけど」

「なずなちゃんを1人で行かせるわけにはいきません!何かあったらどうするんですか!」


「何かあったら……嬉しいかも」

「へっ、変なこと考えないでください!」

「冗談なのに」


こんな調子でぐだぐだ文句を言われ、結局一緒に行くハメになったわけ。

まったく……なんで桃矢が先輩の家に行くこと知ってるんだか。

バレないように隠してたのに。


「はぁ……」


吐息交じりにため息を零した。

まぁ、桃矢は一旦置いといて、先輩に会えることには変わりないし、楽しまないと損だよね。

なんたって今日の結果次第で、今後のわたしと先輩の関係が左右されるわけだし?


桃矢の文句をかわしつつ歩いていると、ようやく目的地である萩原先輩の家が見えてきた。