すぐそこまで出かかっていたはずの言葉も、声になる前に喉の奥で消えていた。


もしも先輩が来なかったら………と、考えるだけでゾッとする。


先輩の顔が真っ直ぐ見れないや………。


胸のモヤモヤがようやく消えるかと思ったけど、結局は歪な塊が残ったまま。



先輩と一緒にいると楽しいはずなのに、どこか申し訳なさを感じていて。

後ろめたい何かがあった。


そのたった1つの『何か』に気づいてしまうことで、積み上げてきた幸せは簡単に崩壊してしまう。


わたしは、今の幸せを壊してまで手に入れたいものなんて何もない。

もう十分すぎるくらい幸せだって思えるのに。


手を繋いだ相手が“君”じゃないことが寂しいと。


わたしの心が、叫んでいた。