わたしと先輩の間に割って入り、掴んでいた手を強引に離された。


「来い!!」

「えっ、桃矢!?」


反発する間も与えてくれずに、力強く腕を引かれる。


「なずなちゃん……」


振り返った先に見えたのは、悲しげに瞳を揺らしながらも、追いかけようとはしない先輩の姿。

なんで、先輩。……なんで、桃矢。


「ちょっと、桃矢!いったいどこにっ……」

「黙って」

「なっ………、…んっ……」


上手く呼吸ができない。

走るスピードが速すぎるせいだ。


わたしより足の遅いはずの桃矢が、こんなに速く走れるわけがないのに。

なんで……どうしちゃったの………?


色鮮やかな花道を抜け、ひたすら走り続ける桃矢の背中を見ていた。


桃矢。

わたし、桃矢の考えてることが全然わかんないよ………。