「どういう意味だ」


 美月姫の名を出した水上に、優雅は険しい表情を向けた。


 「幹事長は報告書により、大村さまのこともすでにご存知です。優雅さまがこれ以上本業を疎かになさいますと、大村さまとお会いになるのを禁止させねばならないとも」


 報告書?


 丸山自身が四六時中優雅を見張るのは不可能だし、水上にしたって函館での業務があるから、とても札幌のことまでは監視できないだろう。


 となると興信所でも雇ったのだろうか。


 美月姫と優雅は顔を見合わせた。


 興信所、すなわち探偵に尾行されていたとは、二人とも全く気づいていなかった。


 札幌や函館での密会、何もかもが丸山乱雪に筒抜けだったとは。


 いつから?


 どうして気づかれたのだろう?


 「優雅さまが、いくら紫さまのお見舞いとはいえあまりに頻繁に北海道入りをしたり、旅費を経費として計上しないことも多いのを、幹事長は徐々に不審に思い始めたのです」


 二人の疑問を水上は説明した。