心臓が否が応でも高鳴って、それでも気付いてしまえば抗うことも出来ずにシオリの挟まれたそのページに指をかけた。


スルリ、抜けたシオリを掴んだままゆっくりとページを開けば、やっぱり予想通り。


文字の並んだ間に挟まれたそれを見て、思わず喉の奥がツンと痛んで、込み上げてくるものを必死に堪えるために瞬きを繰り返した。



「っ、」



─── どうして、こんな、俺のために。



そこには、栞からの“最大級の想い”が、確かに残されていた。


臆病な俺から距離を取られ、近付くことも叶わない栞が、俺になんとかして伝えたい、精一杯の気持ち。


どんなに自分が傷付こうとも、それでも何度でも立ち上がる強さと優しさを持った彼女の、俺に向けた精一杯のエールだった。


だけど、こんなことを最大級の想いだなんて─── ワガママ、だなんて。


本当は、もっともっと俺に言いたいことや伝えたいことがあるはずなのに、それでも栞は、俺との最後に“これ”を選んだ。


そんな意地らしい栞の気持ちを思えば、胸が苦しくてたまらなくなって、今すぐにでも彼女を抱きしめたくなった。