「……栞は、何も悪くない。栞は、これ以上、自分を責める必要なんてない」


「……っ、」



腕の中。俺の言葉に、そんなはずがないと首を振る栞の心を宥めるように何度も何度も彼女の背中を擦った。


その優しい声が、心が。


これ以上、傷付く事のないようにと願うことしか、今の俺にはできないから。


今だけはせめて、その苦しみの全てを預けてほしいと真摯に願う。


頼むから。今ここにいる、彼女が。



(─── 先輩。たくさん迷惑を掛けてしまって、ごめんなさい)



優しい彼女が悲しみの渦に消えてしまわぬようにと、精一杯願いながら……



(ごめんなさい)



俺は、腕の中で震えるその小さな身体を逃さぬように、きつくきつく抱き締めた。



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 『Geranium(ゼラニウム)』

 決意・慰め
 君ありて幸福