「レアカードレアカード……」


雨に濡れながら登校している
小学生たちの中に


1人でうつむいて
ブツブツ言っている子が見える。


暗い顔で下を向いているその子は
同じ言葉を何度も繰り返していた。


「レアカード……レアカードほしい……」


暗い表情で1人で歩く小学生。

その子は
黒いランドセルを背負って
学校指定の黄色い帽子の男の子。


そして膝にはこけて擦りむいた時に
張った絆創膏。


「高山くーん!
昨日のテレビ見た?」


男の子はテレビと聞いた瞬間
今までの暗い顔がウソのように


勢いよく振り返った。


「みたみたみた!


すごかったよなー
あのデュエル!


敵は相手のカードを
出す前に全部わかっちゃう


すごい奴でさ


でも主人公は最強のカードを
出して勝つんだよな!


かっこいい!


僕もあんなレアカード
ほしいよな……」