水男(ミズオ)

真剣な表情の平野を見て
亜美は笑った。


「どうしてだと思う?」


平野はしかめっ面。


「それがわからないから
聞いてるんですよ」


平野の困った顔を見て
亜美はまた笑い出す。


そして笑いながら
平野の手を取った。


「どうしてかって言うと
刑事さんがとてもいい人だから」



「いい人?私が?」


意外な答えに平野は
びっくりした顔をしている。


すると


亜美は平野から離れ
深々と平野に頭を下げた。


「平野警部。


ちひろの為に頑張ってくれて
本当にありがとう」


驚いた顔をした平野。


しかし元の優しい顔に戻った平野は
深々と頭を下げる亜美に言葉をかける。


「いや。


ちひろちゃんを助けられなかった責任は
すべて私にある。


本当にすまなかった」


そして平野も頭を下げる。



亜美は首を振った。


「謝らないで。


私はね。ずっとあなたに
お礼を言いたかった。


そう思っていたらまた会えたのよ。
私は本当にうれしかった。


あの会議室に現れて
真理子の為にまた捜査をしてくれると知った時……」



亜美は優しい顔をして平野を見る。


「私はこの人になら
捕まってもいいって思った」