水男(ミズオ)

「水……水さえあれば
アイツになんか負けない」


恐怖におびえながらも
俊介の喉の渇きは収まらない。


それどころか


さっきよりまた一層
喉の渇きが俊介を襲ってくる。



冷蔵庫を開けわずかについた
霜をなめる俊介。


しかしそんなものでは
喉の渇きは収まらない。


コンロに置いてある
ケトルをひっくり返し


口に当てるが
ほんの数滴しか


水が出てこない。


亜美はそんな俊介の姿を
見つめながら


今度は指を2本立てて
こう言った。


「あと2分。


あなたがバルコニーから転落して
人生を終えるまであと2分よ」


「しつこいぞ!


俺は死なない!絶対に水にありついて
力を取り戻し


亜美!お前を殺す」


力を振り絞って
亜美を睨む俊介。



しかし亜美は余裕の表情で
こう言った。


「妖怪水男さん。

何か忘れてない?」


亜美はにやりと笑った。


「あなたは忘れている。

実はね

この部屋には水があふれているところが
一つだけあるのよ」



亜美は深呼吸をして
言葉を繰り返す。



「あなたは忘れている」