水男(ミズオ)

「ははは……


パソコンでこの部屋の
水道料金のデータを少し変更したの。


あなたは3年間水道料金を滞納していることに
しといたから」


涙を流して笑う亜美。


「即座にこの部屋は断水。


水道の元栓までコンピュータ制御にするのも
考え物よね。


ははは!」


笑い転げる亜美の前で苦しむ俊介。


「水……水はないか?」


かすれた声で床を
這いずり回る。


またシャワー室に入った俊介は
床にわずかに残った水滴を見つけた。


「水……水……」


そう言いながら俊介は舌を伸ばし
床に落ちている水滴をなめだした。


「俊介さん。あなたはとうとう
妖怪になり果てたようね」


落ちくぼんだ目。
生気のない青白い顔で

髪の毛を振り乱し
シャワー室の床をなめる姿は


確かに妖怪そのもの。



「あなたにはもう
俊介なんて人間の名前は必要ない。


あなたのような妖怪には
こんな名前がふさわしい」