水男(ミズオ)

「ボクとちひろは2人で1人……」


亜美の涙は止まらない。


「それなのにちひろは
ボクを残して行ってしまった……」



その時亜美は突然目を開いた。


亜美の瞳はさっきまでのとろんとした目ではなく
力のこもった鋭い瞳だった。


「お……起きたのか……

てっきり寝ているのかと……」


すこしうろたえた俊介が
亜美に言葉をかける。


首を絞めようとした手を
引っ込めて


俊介は苦笑いを浮かべている。


亜美はじっと俊介を見つめながら
指を差した。


亜美の指はまっすぐに
冷蔵庫に向けられている。


その時亜美はにっこりと笑った。


「俊介さん。水は飲まないの?」


亜美に水と言われた瞬間
猛烈な喉の渇きに襲われる俊介。


そう言えばいつもシャワーの後は
ミネラルウォーターを喉に流し込んでいる。


純度100パーセント。


何も混ざっていない
清らかな水はとてつもなく


美味しいものだ。