水男(ミズオ)

俊介は亜美に覆いかぶさり
ゆっくりと首に手を近づけていく。


そして亜美の首まであと10センチ。


その時
俊介は震える手を突然止めた。



「どうしたんだ?」


俊介がつぶやく。


俊介は亜美の異変に気が付いた。


俊介が首を絞めようとしたその瞬間
亜美の瞳から涙が一粒流れ落ちたのだ。


「……」


目をつぶったままの亜美が
何かつぶやいた。


それからも一粒、もう一粒と
亜美の瞳から涙が零れ落ちていく。


突然涙を流し始めた亜美を見て
俊介は動きを止めたまま。


その時亜美がまたつぶやいた。


その言葉は俊介の耳にも
はっきり聞こえた。


「ちひろ……」


亜美はそうつぶやいていた。