水男(ミズオ)

ゲームを始めた高山君は
拍子抜けした。


ちひろは明らかに
弱かったからだ。


まだゲームに慣れていないらしく
ルールすら怪しい感じだった。


「えーと……
このカードを横に向けて……」


おぼつかない手つきで
カードを動かすちひろ。


高山君は思った。


この大きい瞳のちひろは
ビギナー。


するとちひろの後ろに控える
ボクっていう変な奴が


強いんだな。


卑怯な奴め。


ド素人をカモフラージュにして
連戦連勝ってわけか。


こんな奴は叩き潰してやる!



「私は卑怯なんかじゃないよ」


その時ボクが高山君に言った。
一瞬動きが止まる高山君。


あれ?


高山君の心の中に広がる
違和感。


いつものゲーム場が
今日はまったく違う風景に見えてくる。


時空が歪んでいく感じ。