水男(ミズオ)

高山は電飾の輝く店の前で
足を止めた。


トレカ。
高額買取。


夜も遅いのにその店は
営業していて


そこそこの人でにぎわっている。


高山は少し笑いながら
背広の胸ポケットに


手を突っ込んだ。


ポケットから出てきたのは
カードのデッキだった。


カードの店の前で
スマホとカードのデッキを握りしめている


若い男の姿は
どう見ても


モテる男のそれではない。


もう就職するぐらいの年頃なのに
未だに高山はカードのデッキを


持ち歩いていた。



実は高山は
小学校時代カードの達人と呼ばれていた。


友達の間では負け知らずで
地区の大会で優勝したこともあるぐらいの


腕前だった。


一時はカードゲームのプロ
(本当に存在している)を


夢見ていたころもある高山。


「久々にデュエルしてみるか……どうせヒマだし」



そうつぶやいた高山は
電飾の光輝く

カードゲームの店に入っていった。