そして会議室の一番後ろには
俊介が立っている。


指導係の補佐である俊介は
新人たちが研修に励む姿を


笑顔を浮かべながら
見つめていた。


緊張感の漂う会議室で
俊介はつぶやいた。


「俺にはわかる……」


俊介の視線の先には
亜美が必死でノートを散る姿がある。


拾い集めたペンを渡した時の
亜美の様子を思い浮かべる俊介。


真っ赤な顔をしながら
見つめる亜美の瞳の色を思い浮かべて


俊介はまた笑った。


「俺にはわかる。あいつは
俺のことが好き」


唇を一瞬歪めた俊介は
手に持っていたペットボトルの


水をグビリと飲み干した。