拾い集めたペンを亜美に渡した男は
白い歯を見せて笑った。


「俊介でいいよ。

俺は堅苦しいのは嫌なんだ」



そして亜美の背中をポンと押す
俊介。


「早く会議室に行かないと
遅刻だぞ」


赤い顔をした亜美は
俊介に頭を下げた後


会議室へと走って行った。


さわやかな笑顔。
優しい瞳。


俊介の表情が
亜美の頭から離れない。


「仕事大変だけど
頑張れる気がしてきた。やるぞ!」


さっき窓から外をぼーっと眺めていた人と
同一人物とは思えないほどの


やる気をみなぎらせた亜美は
会議室へと消えていった。


俊介は亜美の後姿を
笑顔でずっと見つめていた。