水男(ミズオ)

俊介はテーブルに置いてある
小さな写真立てを見た。


写真には小さな男の子を抱いた
美しい女性が写っていた。


「いつも友達には
うらやましがられていたよ。

自慢のママだった。


国際線のCAをしていて
いつも家にはいなかったけど


帰ってきたときは
いつも抱きしめてくれた」


写真に話しかけている俊介は
また水を一口飲んだ。


「でももう会えない。

10年前


僕の大学合格を喜びながら
ママは旅立っていった」


写真立てを伏せた俊介。


涙が鏡面仕上げの
テーブルにぽつりと落ちた。


そのまま俊介は
しばらく下を向いたまま


動かなかった。