「ママはきれいだ
世界一きれいだった」


俊介はボトルの栓を開けると
一気にミネラルウォーターを飲み干した。


体の中に冷たい水が
いきわたる快感を味わった俊介は


今度は味わうように
ゆっくりと水を味わった。


至福の表情の俊介。


「水は天然に限る」


そういった俊介は
コップで水道から水を注いだ。


水道水を一口飲んで吐き出す俊介。


「水道水なんか飲めたもんじゃない。
水は天然に限る」


宮崎県霧島から湧き出た
極上の天然水のボトルを見て


満足そうにうなずく俊介。


冷蔵庫には天然水以外の飲み物は
一切入っていない。


ジュースもコーヒーも
紅茶も


俊介にとってはただの
不純物が入った


汚れた水でしかなかったのだ。