誰も高山の言うことを
信じてくれない。


亜美も平野も
高山がうそを言っていると


思っている。


自分の周りは敵だらけ。


真実を叫んでも
信じてくれないオオカミ少年。


信じてくれないということは
こんなに辛いものかと


高山は下を向いた。


そして亜美を救うことができない
自分を

心底情けないと感じていた。


「わかりました……失礼します」


そう言って肩を落として去っていく高山。



「平野さん……追い返していいんですか?

あの子、うそを言っているようには
見えませんでしたけど」


受付の人が心配そうに平野に言った。


「今、私が動けば動きを悟られる。


キジも鳴かずば撃たれまいに……
ってとこですかね」


首をかしげる受付の人を残して
平野は去っていった。