俊介は真理子を殺し


恍惚となる興奮を得た代わりに
何かを失った。


俊介の心は深い闇に閉ざされ


その渇いた心は
どんなに水を飲んでも


潤うことはない。


床に座り込む俊介。


しかし人を殺した恍惚感が
消え去った俊介は立ち上った。


「水……」


そうつぶやいた俊介は
またペットボトルの水を


がぶ飲みする。


水を飲む俊介の
頭の中は


人を殺した興奮を
もう一度味わいたいという欲求で


渦巻いている。



要するに
俊介は次の獲物。


次の犠牲者を求めていたのだ。


「人を殺したくてたまらない」


笑顔でそうつぶやいた俊介は
また水を飲む。



笑顔。


にこやかな笑顔。


笑顔の俊介が笑い声をあげている。


夕日がとてもきれいな
ベイサイドのマンションで


俊介は次の獲物を求めて
いつまでも笑い続けていた。