恋色風船

明彦とのデートは、なんということのないショッピングモールだった。


相変わらず、疲れがたまっている明彦が、遠出はしたくない、人の多い場所に行きたくない、と主張するからだ。


それでも、麻衣の機嫌はすこぶるよい。

昼日中に、恋人と手をつないで歩く。

人目をはばからずに、堂々とデートできる。


カップルならあたり前の、なにげないことが、あらためて楽しいと感じられる。


裏にある林との関係を、舌の下にしのばせたあめ玉のように、しゃぶっているからだ。