■お泊まり会■


「そんなことより、今日午前終わりじゃない。じゃあ春樹くんも一緒に行こうよ」
「あ!それいいなあ!!」
麗ちゃんの提案に同意する健ちゃん。
そういえば、そんな話してたなあ。

しまった。すっかり忘れてた。

「海?」
「俺ん家まで行く帰り道に海岸があるんだよ。俺らがよく行く海」

佑都の家は海岸沿いにある大きな旅館。
小さな頃からあたしたちは、夏休みが来ると佑都ん家にお泊まりさせてもらっていた。
だからここまま遊ぼうって話してたんだっけ。
…しまったなあ。最近、増えてきたな…。

「愛海?」
「え?」

佑都が眉間に皺を寄せた。

あ。バレた。

「…お前、荷物まとめてあるんだろうな」
「あー…まとめてないっす」
佑都、うまいなあ。
今は、感謝するしかないな。

「なにやってんの…」
「じゃあ愛海は後から合流だな」
「くそう!!あたしも一緒に行きたかったわ!!」
ダンッと机を叩いて悔しがるあたしに、アホだなと罵る健ちゃん。
おうおう。やっぱ殴んぞ。
「まとめてない愛海が悪い」
「ガーン」
いいように佑都にまとめられた。