津山くんがそんな弱気なことを呟いている。
「何で? 自分から言ったくせに」
「いや……だって、絶対断られると思ってた」
「断った方が良かった?」
「うそ! 嬉しい、めっちゃ嬉しいよ」
素直に言われても、それもそれでむず痒い。
ありがとう、と本当に嬉しそうに、噛み締めるように彼が告げるから、今度こそ我慢できなくて通話を終わらせる。何で切っちゃうの、ねえ、とその後スタンプと共にメッセージが送られてきたけれど、無視して私は逃げた。
でも、全然逃げ切れなかった。
次の日学校へ行くと、朝から津山くんと目が合って。周りに誤解されて噂になるのは面倒だから、私はずっといつも通り振舞うように努めた。
津山くんからの視線は途切れない。ふとした時、見られているのが分かる。視線が、刺さっている。でも学校で彼から話しかけてくることは一度もなかった。
『約束覚えてる? 明日、そのまま帰らないでね』
二十三日の夜、津山くんからのメッセージ。明日は終業式で、普段より早めに下校できる。
一週間前の彼の誘いはただの気紛れだったんじゃないか。その間あまりにも音沙汰がなさすぎてそう思い始めていた、私の心を読んだかのようなタイミングだった。



