ピーク・エンド・ラバーズ



津山岬が、女の子と遊ぶのをぱたりとやめた。
こんな噂が広まったのは、それから二週間と経たないうちのことだった。

彼女ができた、とか、好きな人ができた、とか。噂は好き勝手に脚色されて、今では美人女子大生と結婚を前提にお付き合いしている、という設定まで生まれた。
人気者って大変だな、とちょっとだけ同情したのは内緒だ。

まあそれもこれも、あくまで「噂」として人づてに聞いただけで、本当のことは何も分からない。
というのも、津山くんとは最近一切連絡を取っていないし、学校でも話していなかったからだ。

私自身も三年生に進級する手前、そろそろ進路のことを真剣に考えなければいけない時期だったし、それより何より、最近また羊と狼谷くんの仲がぎくしゃくしているようで、正直それどころではなかった。

そう、それどころではないはずだったのだけれど。


「もしもし、津山くん?」


あと一週間ほどで冬休みという時に、その電話は突然かかってきた。
一ヶ月前に二人でたい焼きを食べに行った日の「今日はありがとう」的な文章で、メッセージのやり取りは終わっている。それが急に、今日になって「いま電話しても大丈夫?」と彼からコンタクトがあって。


「あ、西本さん? ……ごめん、急に」