ピーク・エンド・ラバーズ



いらいら、むかむか。急に膨らんできた感情が、私の中を覆いつくす。

適当で、だらしなくて、八方美人。
やっぱり、嫌いだ。嫌いになりたい。私は早く、津山岬に失望したい。


「好きじゃないのに期待させるって、津山くん見かけによらず残酷だよね」


そういう人が、一番狡くて卑怯だよ。
でも、その罠にまんまとはまりかけている自分が、一番みっともなくて情けなかった。

だって、本当に嫌いになりたくて、本当にどうでも良かったら、こんなこと言う必要はない。私はどうでもいい相手に労力はさかない。
どこかできっと、期待している。本当の津山岬はこうじゃないって、何も知らないくせに思っている。

馬鹿げたことはやめて、彼の中のまっとうな人格を取り戻してくれないだろうかと、どこまでも勝手に願っている自分がいた。


「……津山くん?」


彼は何も言い返してこなかった。それが不気味で、恐る恐る視線を向ける。
伏せられた彼の目は今にも零れ落ちてしまいそうで、血色の良かった頬もすっかり白くなっていた。

――やってしまった。
途端に息が詰まって、後悔の念が襲ってくる。

私の悪い癖だ。ある程度仲良くなった相手には、時折きつくなってしまう。


「ごめん」