弱々しい声で津山くんが申告する。
なんだ。チョコのたい焼きを食べる津山くんも、なかなかに可愛いと思うけど。
その後に私も注文を聞かれて、あんこでお願いします、と答えた。
会計の時にまた津山くんが私の分まで払いそうになったから、今日は断固拒否する。奢られる理由がない。
すると彼は少しだけ萎れてしまった。仕方なく、「じゃあ先に座ってるから、できたら私の分も受け取って」と託す。津山くんの調子が復活した。
お店の中は特別広いというわけではなくて、昭和の空気が漂う簡素な椅子が数脚置いてあるだけの、シンプルな空間だ。
「ほい、どーぞ」
「ありがとう」
ぼんやりと店内を眺めていると、津山くんが戻ってきた。
手渡されたたい焼きはじんわりと温かくて、冷え始めた外の空気に丁度良い。
津山くんは、頭と尻尾、どっちから食べる派なんだろう。
そう思って彼の方に視線を移せば、私をじっと見つめる瞳にぶつかった。どうやら、私が先に食べるのを待っているらしい。
いただきます、と小さく呟いてから、鯛の頭をかじる。
「美味しい」
気の利いた感想なんて何一つ言えないのだけれど、本当に、美味しい。生地もあんこも甘くないから、すんなり食べられそうだ。
「はは、良かった。うまいよね」



