ピーク・エンド・ラバーズ



津山くんと、たい焼き。たい焼きと津山くん。
どうしてもその二つが繋がらなくて、そうしたら、何だか笑えてきてしまった。さすがに失礼だと思ったけれど、耐え切れずに吹き出してしまう。

津山くんはそんな私を見て、気恥ずかしそうに目を逸らした。


「わ、悪かったですね、洒落てなくて……」


あ、今の、可愛い。
やっぱり私は、津山くんの焦ったり困ったりしている顔が好きだ。それだけいうと変な人に聞こえるかもしれないけれど、彼の本質的な部分が垣間見えるようで、悪くない。


「ううん。いいと思う。私も好き」


気分が良かった。率直に述べれば、津山くんが「えっ」と僅かに頬を染める。
その反応に、今のはちょっと誤解を招く発言だっただろうか、と反省し、「たい焼きね」と付け加えた。

お店の前でいつまでも話しているわけにもいかず、暖簾をくぐって店内へ足を踏み入れる。


「あら、岬くん、久しぶりやねえ。いらっしゃい」


すると私たちを視界に入れたお店の人が、ゆったりとした口調で声を掛けてきた。
どうも、と会釈した津山くんは、どうやら顔見知りのようだ。


「今日は友達と……あ、ちゃうか。彼女さんと来はったん?」

「えっ!? や、違います、友達で……」